行政DXの最前線! 海老名市が試すAIアバターの可能性

デジタル技術の進化が行政の現場にも影響を与え始めています。

神奈川県海老名市は、生成AIを活用した対話型AIアバター「そうだん AI-Te(相談相手)」を導入し、市役所の窓口対応を支援する実証実験を開始しました。
この試みは、行政DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させ、市民サービスの向上を目指すものです。

AIを活用した新しい住民対応とは?

海老名市が実施している実証実験では、市役所1階エントランスホールに「そうだん AI-Te」を設置。来庁者と自然な会話を通じて、市役所の各種手続きに関する案内を行います。従来の紙の案内板や職員の口頭説明に代わり、AIが適切な窓口や必要書類を瞬時に案内できるため、利用者の利便性が向上すると期待されています。

生成AIが市民サービスを向上させる仕組み

「そうだん AI-Te」は、音声対話システムと自然言語処理技術を組み合わせたAIアバターです。ユーザーの質問に対して適切な回答を生成し、視覚的にも分かりやすい案内を提供することで、利用者の負担を軽減します。さらに、実証実験を通じて得られたデータを活用し、回答の精度を向上させることが可能です。

また、このAIアバターは株式会社エイジェックと東京大学出身のスタートアップ企業である株式会社EggAIが共同開発したもので、自治体向けにカスタマイズされています。業務マニュアルや窓口案内のデータを事前に学習することで、実際の業務に即した対応を実現しています。

実証実験の成果と課題

今回の実証実験は、2025年2月3日から3月31日まで実施され、市役所を訪れる市民の反応や運用上の課題を検証することが目的です。特に、

  • AIの案内が適切かどうか
  • 利用者がストレスなく操作できるか
  • 高齢者やデジタルに不慣れな層への対応は十分か

といった点が評価されます。

一方で、AIの限界も課題として浮上する可能性があります。例えば、複雑なケースへの対応や、意図しない回答を防ぐためのフィルタリング技術の向上が求められるでしょう。また、個人情報の管理やセキュリティ面での対策も重要です。

行政のDX化を進める意義

行政機関におけるDXの推進は、少子高齢化や人手不足といった課題に対応するために不可欠です。海老名市のような先進的な取り組みは、今後全国の自治体に広がる可能性があります。生成AIを活用することで、窓口業務の負担を軽減し、職員がより専門的な業務に集中できる環境を整えることが期待されます。

他の自治体への展開は?

海老名市での実証実験の結果次第では、他の自治体でも同様のAIアバターを導入する動きが加速するかもしれません。すでに東京都や大阪市などの大都市圏では、AIを活用した行政サービスの研究が進められています。

今後、「そうだん AI-Te」が正式に導入されるかどうかは、今回の実証実験の成果にかかっています。AIが行政窓口の一部を担う時代は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。