金融界に広がるAI活用の波、ゴールドマン・サックスが先陣
米大手金融機関ゴールドマン・サックスは、生産性向上を目的として、全社員約46,000人を対象にAIアシスタントの導入を発表した。
ニュースサイトのロイターが23日、同社の社内メモを確認した内容として報じた。
これにより、AI技術がウォール街の実務にも本格浸透する兆しを見せている。
「GS AIアシスタント」で業務の質とスピード向上を図る
今回導入されたAIアシスタント「GS AIアシスタント」は、文書の要約、初期コンテンツの生成、データ分析支援など、日々の業務に直結するタスクを対象としている。
同社CIO(最高情報責任者)マルコ・アルジェンティ氏によれば、一部部門では既に試験運用されており、その成果を受けて全社展開に踏み切った。
AI導入を巡る業界動向:金融大手の戦略比較
金融業界全体でもAI活用が急速に進行中だ。
シティグループでは「シティ・アシスト」や「シティ・スタイラス」といった内部AIツールが既に稼働しており、モルガン・スタンレーは顧客応対にチャットボットを利用。
また、バンク・オブ・アメリカの「エリカ」は小売顧客の取引支援に特化している。
補足:ゴールドマン・サックスのAI戦略とその背景
ゴールドマン・サックスは1869年創業の伝統ある金融機関で、長らく保守的な体制を維持してきたが、近年はデジタル化・テクノロジー導入を積極化。
特に2024年には開発者向けの「GS AIプラットフォーム」を社内展開し、GPT-4やClaudeなど複数のLLM(大規模言語モデル)を統合。
金融業務に最適化された自社ホスティング型AIを構築し、生産性20%向上の成果を挙げた実績もある。
また、AIシステムはすべて社内の閉鎖ネットワークで運用されており、コンプライアンス監視体制も整備。
このような万全の体制が、全社員展開という大胆な決断を可能にした。
今後の展望:AIが金融の働き方を変える
業務効率化に加え、AIは従業員の創造的業務への移行を促進し、意思決定の質も向上させる可能性がある。
ゴールドマン・サックスの取り組みは、今後の金融業界全体の働き方改革の先駆けとして注目されている。