【速報】ノルウェー政府系ファンド「AIを使わなければ昇進も採用も無し」-徹底導入の舞台裏

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AI活用が昇進・採用の条件に

世界最大級の主権財源ファンドであるノルウェー政府年金基金グローバル(GPFG)は、職員に対してAI(人工知能)活用を義務付ける方針を打ち出しました。
CEOのニコライ・タンゲン氏は「AIを使わない職員は昇進も採用もされない」と明言し、AI導入を組織の中核戦略と位置づけています。
これは資産運用業界においても異例の方針であり、世界の投資業界に大きな波紋を広げています。

業務効率向上と人員抑制を同時実現

タンゲン氏は2022年から全職員670人に対してAI活用を強力に推進しており、すでに約300人が日常業務でAIを活用したプログラミングを行っています。
AI導入により2024年には業務効率が15%向上し、今後2025年には20%、2026年にはさらに20%の改善を見込んでいます。
この結果、人的リソースの追加を最小限に抑えながら、資産運用の品質とスピードを向上させることができるとしています。

活用されている主なAIツール

ファンドでは次のような先進的なAIツールを導入しています。
– Anthropic社の「Claude」
– Microsoftの「Copilot」
– Perplexity AI社の「Perplexity」
– OpenAIの「Deep Research」
– Google AI
これらのツールは情報収集、データ分析、資料作成などの幅広い用途で使用されており、職員全体の生産性向上に寄与しています。

AI専任体制と教育施策

社内には現在、AI専任担当が6名、さらに各部門から選ばれたAIアンバサダーが40名存在し、定期的にセミナーや研修を実施しています。
CEO自らもポッドキャストや講演を通じてAIの重要性を訴えており、「AIによって生まれた時間を、より深く考えるために使うべきだ」と強調しています。

人間の判断と倫理への配慮

AIの導入が加速する一方で、GPFGでは「人間が最終判断を下す」原則を堅持しています。
AIが自律的に取引を行ったり、採用決定を下すことは禁止されており、中央銀行およびノルウェー財務省のガイドラインに従って厳格なルールの下で運用されています。

ノルウェー政府年金基金グローバル(GPFG)の概要

GPFGは1990年に設立され、主に北海油田からの収益を原資にした運用資産は約1.8兆ドル(約259兆円)に達します。
世界70カ国以上、約9000社以上の株式、不動産、債券などに分散投資しており、長期的なリターンと持続可能な投資を重視しています。
その規模と影響力から「世界の株主」とも呼ばれ、ESG(環境・社会・企業統治)にも積極的な姿勢を取っていることで知られています。