【2025/5/7速報】米政権、AI半導体の輸出規制強化を撤廃・見直しへ 業界の反発と国際連携を考慮

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米政権がAI半導体規制を再考、業界と同盟国に配慮

2025年5月7日、米国トランプ政権は、前バイデン政権下で策定されたAI関連の先端半導体輸出規制強化策の撤廃または修正を正式に検討していると発表しました。
この規制は、軍事転用の可能性がある先端AI半導体が中国やロシアなどの敵対国に流出するのを防ぐ目的で導入されたものでした。
しかし、同盟国との連携や民間業界の反発を受けて、米政権はその適用直前で見直しを進める決断に至りました。

業界からの強い反発、NVIDIAなど主要企業に影響

AI半導体市場をけん引するNVIDIAやAMDは、中国市場での売上減少を懸念し、規制強化策に対して早期から反対の立場を取ってきました。
特に「AI拡散ルール(AI Diffusion Rule)」と呼ばれる制度では、国をカテゴリー別に分類し、それぞれに異なる規制を課す複雑な構成となっており、企業活動の妨げとなるとの声が相次いでいました。
規制撤廃の報道を受け、NVIDIAの株価は3%以上上昇しています。

技術優位と国際協調の両立を図る新方針

レモンド米商務長官は、「最先端のAI技術を守ると同時に、パートナー国とその恩恵を共有する」と述べ、新たな輸出管理体制の構築に意欲を見せています。
新方針では、国ごとの個別協定によって柔軟な対応を図る方向性が打ち出されており、同盟国との関係を維持しつつ、安全保障上の懸念にも対応することが求められています。

中東諸国も歓迎、技術連携の可能性広がる

規制緩和により、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など、中東のパートナー国もAI技術導入への期待を強めています。
これらの国々は、自国の技術基盤を強化するため米国との協力を模索しており、今後はAI技術に関する共同開発や研究拠点の設立が加速する可能性があります。

補足情報:AI拡散ルールとその背景

「AI拡散ルール」は、2023年にバイデン政権が導入を発表した戦略的輸出管理策であり、特定の国家に対して先端AI関連のチップや設計ソフトウェアなどの輸出を制限するものでした。
この政策の背後には、中国やロシアなどによるAI技術の軍事転用を防ぐという安全保障上の強い懸念がありました。
ただし、規制が包括的かつ過度であるとして、米国内のスタートアップやシリコンバレーの大手企業からは、イノベーションへの阻害要因との批判が高まりました。
今回の見直しは、安全保障と経済的利益、同盟国との関係性をバランスよく再構築しようとするアプローチの一環とみられています。

今後の展望

トランプ政権は今後数ヶ月以内に、新たな輸出管理体制の枠組みを明らかにするとみられています。
また、中東諸国訪問などを通じ、AI技術の輸出に関する実務協議も予定しており、米国の技術的影響力の拡大と安全保障の強化が同時に図られる見通しです。