台湾侵攻を見据えた宇宙戦争シナリオ、米中が急速準備
米国防当局は、2027年の中国による台湾侵攻の可能性に備え、宇宙戦争に向けた作戦計画を急いでいる。ニュースサイトのロイターが関係者の話として16日に報じた。
米宇宙軍司令部では、通信衛星の防衛、無人スペースプレーンの活用、そして電子妨害に対抗する技術開発が進行中で、すでに米軍のX-37B無人宇宙機が434日間の軌道飛行を終えたばかりだ。
「ゴールデンドーム」構想とは何か
トランプ前米大統領が2025年1月に発表した「ゴールデンドーム」構想は、宇宙空間に迎撃兵器と監視システムを配備し、敵のミサイル攻撃を未然に防ぐ防衛網を構築する計画だ。
費用は1,750億ドルとも言われ、レーガン政権時代の「スターウォーズ計画」との類似点も指摘されている。米空軍や宇宙軍が最優先課題として進めており、宇宙防衛戦略の中心になる見込みだ。
中国の動向と「天宮」宇宙ステーション
中国も宇宙での軍事的プレゼンスを強めており、自国の宇宙ステーション「天宮」に無人防衛機能を追加する構想を進めている。2030年に国際宇宙ステーション(ISS)が運用終了を迎えると、天宮が唯一の有人宇宙プラットフォームになる可能性が高い。
こうした中国の「自衛」名目の装備強化は、宇宙の地政学的バランスを大きく揺るがす要因となりうる。
近未来の戦争兵器:宇宙と地上で進む無人化・自律化
宇宙戦争に限らず、地上ではAI搭載ドローンの実戦配備が進んでおり、ウクライナとロシアが光ファイバー誘導型や自爆型ドローンで戦術を変えている。
また、米軍は高出力マイクロ波兵器「Leonidas」やイスラエルのレーザー迎撃兵器「Iron Beam」など、新たなドローン迎撃技術も実用段階に入っている。
さらに台湾は水上ドローンの開発を進め、中国の海上優位を打破しようとしている。これらの技術はすべて、将来の多元的戦争における主力兵器と目される。
宇宙で戦争が起きる日、「起こらない」という保証はない
米宇宙軍のスティーブン・ホワイティング大将は、「宇宙で戦争が起こったことはまだない。だからこそ、最善の準備を整えておく必要がある」と語っている。
宇宙空間での軍事的衝突は、地球上の通信・インフラにも壊滅的な影響を与える可能性があり、現在進行している米中の技術開発競争は、静かに「宇宙冷戦時代」の幕開けを告げている。