【2025/5/13速報】米、UAEにエヌビディアAI半導体100万個超輸出許可を検討

ニュース

米政府、UAEへのAI半導体輸出を大規模検討

米国政府が、エヌビディア製の高性能AI半導体をアラブ首長国連邦(UAE)へ100万個以上輸出する許可を検討していることが明らかになった。
この動きは、同盟国への技術提供を強化しつつ、中国などへの輸出規制とのバランスを取る戦略の一環と見られている。

今回の輸出対象となるのは、生成AIやビッグデータ処理に使用される最先端のAI向け半導体で、UAEの国家AI戦略において中核を担う技術となる見通しだ。

エヌビディアの役割と業績への影響

輸出が承認されれば、米半導体大手エヌビディアにとっては過去最大級の商談となり、同社の業績に大きな追い風となる可能性が高い。
エヌビディアはこれまでもAI市場で圧倒的なシェアを誇り、特に「H100」などの最新GPUは世界中のデータセンターや研究機関に導入されている。

UAEのAI戦略とG42の台頭

UAEは人工知能を国家成長の柱と位置づけ、「国家AI戦略2031」に基づき、行政・産業・防衛分野においてAI導入を進めている。
その中でも注目されるのが、アブダビを拠点とするAI企業「G42」で、同社はAI技術開発、スーパーコンピューティング、ゲノム解析などを展開している。

G42はUAE政府との結びつきが強く、国家的プロジェクトの技術実装を主導しており、エヌビディアのAIチップも同社のデータセンターで活用される可能性が高いと見られる。

安全保障と米国の輸出規制の狭間

米政府は、中国やロシアなどへの先端半導体の輸出を厳しく制限している一方、UAEのような「信頼できる同盟国」には柔軟に対応する姿勢を取っている。
ただし、UAEと中国との過去の関係性や、G42社がかつて中国企業と提携していた経緯から、一部の議員や安全保障専門家は技術の流出リスクを懸念している。

このため、仮に輸出が認可されるとしても、厳格な監視体制や再輸出防止措置が取られる可能性が高い。
米政府は、安全保障を維持しつつ、信頼できるパートナーとの技術協力を通じて世界のAI覇権争いにおいて優位を保とうとしている。

背景補足:エヌビディアとAI半導体の進化

エヌビディアは1993年に設立され、当初はゲーム向けGPUの開発で知られていた。
しかし2010年代に入り、同社のGPUがAIやディープラーニングにおいて極めて高い性能を持つことが認知され、研究者や企業の間で急速に需要が拡大した。

とくに「Volta」「Ampere」「Hopper」などの世代に代表されるAI向けチップは、数千個の並列処理ユニットを搭載し、学習速度と電力効率で他社を凌駕している。
こうした背景から、同社は現在、AIチップ市場で80%以上のシェアを占めるとも言われている。

また、G42のような国家系企業がAI国家戦略の一環で大量導入することは、地政学リスクの最前線でテクノロジーがどのように使われるかを示す象徴的事例でもある。