エヌビディアCEOが台湾で講演、最新AI技術に注目集まる
米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、2025年5月20日から台湾で開催される世界最大級のテクノロジー展示会「COMPUTEX(コンピュテックス)」に先立ち、基調講演を行う予定です。
講演は台湾時間で午前11時(日本時間正午)より90分間行われ、エヌビディアの最新の人工知能(AI)サーバーシステム、クラウド・コンピューティング製品、ロボティクス分野での技術革新などが披露される見込みです。
同イベントは今年、世界中から1,400社が参加し、最先端の半導体、ハードウェア、AI関連製品が紹介される予定であり、アジア地域ではトランプ政権時代の米中関税摩擦以降、最大規模の技術交流の場となります。
情報元:ロイター(Max A. Cherney)
エヌビディアとジェンスン・フアンの革新の歩み
エヌビディアは1993年に設立され、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)の開発で知られる企業です。
創業者であるジェンスン・フアンは台湾生まれで、アメリカで育ち、エンジニアとしてのキャリアを積んだ後、グラフィックス技術の将来性に着目してエヌビディアを立ち上げました。
当初はゲーマー向けの高性能GPUの開発に注力していた同社は、2010年代に入り、GPUがAI計算に非常に適していることを背景にデータセンター、機械学習、ディープラーニング市場に進出。
その結果、AI半導体市場において圧倒的なシェアを獲得するに至りました。
AIサーバー・クラウド・ロボティクス分野の技術革新
フアンCEOが講演で触れるとされる技術の中でも、特に注目されているのが「HGXプラットフォーム」です。
これは複数のGPUと高速インターコネクト技術を組み合わせることで、大規模AIモデルの学習や推論を高速化するサーバープラットフォームであり、HPC(高性能コンピューティング)分野でも利用が進んでいます。
また、同社のクラウドサービス戦略では、主要クラウドプロバイダとの連携により、NVIDIA GPUを活用したAI開発環境が提供されています。これにより開発者や企業は、巨大なインフラを自前で持たずとも、柔軟にAIプロジェクトを展開できます。
さらに、NVIDIAはロボティクス分野でも独自技術を展開しており、近年発表されたロボット向けAI基盤モデル「GR00T」は、人間の行動観察や自然言語の理解を通じて動作を学習するヒューマノイド向けソリューションです。
これらの取り組みは、将来的なスマート工場やサービスロボットの普及を加速させる要素となっています。
COMPUTEXの意義と今後の展望
COMPUTEXは、台北で毎年開催されるグローバルIT業界最大規模の見本市の一つであり、AI、半導体、IoT、ロボティクスなど先端技術の最新動向が世界中から発表されます。
2025年は1,400社が参加予定で、半導体サプライチェーンの再構築や脱中国依存を模索する中、台湾が再びグローバル技術革新の中心として注目されています。
今回のエヌビディアの発表は、同社が今後もAI技術のフロントランナーであり続けることを改めて世界に印象付ける場となりそうです。