ソフトバンク、オープンAIへ巨額出資へ
ソフトバンクグループは、ChatGPTで知られる米オープンAIへの巨額出資を進めており、その金額は最大250億ドル(約3.7兆円)に上る可能性があると報じられている。
この出資は、オープンAIを中心とした大規模AIインフラプロジェクト「Stargate」への資金調達の一環とみられており、現在最終段階の交渉が進んでいる。
この投資が完了すれば、ソフトバンクはオープンAIの主要出資者として、マイクロソフトに次ぐ立場を得る可能性がある。
「Stargate」プロジェクトとは何か
「Stargate」は、ソフトバンク、オープンAI、オラクル、MGXが連携して進めているAIインフラ整備のための超大型プロジェクト。
アメリカ国内において、最大5,000億ドル規模(約75兆円)の投資を行い、AIスーパーコンピューティング設備や関連技術基盤を整備する計画だ。
初期段階として1,000億ドルがすでに準備され、テキサス州を中心に施設建設が進められている。
このプロジェクトには、Arm、Microsoft、NVIDIAなど世界的なテクノロジー企業が名を連ね、米国のAI覇権確立に向けた国家規模の取り組みとして注目を集めている。
孫正義氏のビジョンとAI戦略
ソフトバンクグループ会長の孫正義氏は、かねてよりAIへの強い関心を示しており、今回の投資計画も「人工超知能(ASI)」の実現を見据えた長期的な戦略の一環とされている。
孫氏は、AI技術が今後の経済と社会構造を根本的に変える「次の産業革命」になると繰り返し述べており、その一環としてオープンAIやStargateのようなプロジェクトを通じ、AI領域の支配的地位の確立を目指している。
この動きは、AIインフラへの投資にとどまらず、教育、ヘルスケア、金融など多方面への技術波及を前提とした構想といえる。
投資の行方と今後の展望
現段階では最終合意には至っていないものの、交渉は大詰めを迎えている。
関係筋によれば、出資額や条件に関する詰めの協議が続いており、早ければ今四半期中にも正式発表される可能性がある。
実現すれば、ソフトバンクはAIインフラの要となる「Stargate」プロジェクトにおいて、グローバルな影響力を強化することになる。
AI分野を巡る国際競争が激化する中、日本企業が米国を舞台に存在感を示す数少ない事例となるだろう。
補足情報:オープンAIとは
オープンAI(OpenAI)は、2015年に設立された人工知能研究開発機関で、非営利と営利を併せ持つ構造を持つ。
ChatGPTやDALL·E、Codexなどの生成AIモデルで知られ、マイクロソフトが主な出資者として提携関係を築いている。
近年では、AI技術をクラウド経由で提供するOpenAI APIや、企業向けに最適化されたChatGPT Enterpriseなどを展開。
AI倫理や安全性に関する議論の中心的存在でもあり、技術開発と社会的責任を両立するユニークなポジションにある。