【速報】エヌビディア、AI戦略を世界規模で強化 新市場・新技術・中国向け製品で動き加速

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クラウド企業と連携、AIチップ貸出市場を創出

米半導体大手エヌビディアは、AIチップの利用効率を高める新たな取り組みとして、クラウド各社と連携し、GPUの貸出を仲介するソフトウェアプラットフォーム「レプトン」を発表した。
これにより、クラウド事業者は保有するGPUリソースを一元的に販売可能となり、AI開発者や企業は自社要件に応じて適切なGPUを簡単に検索・利用できるようになる。
参加を表明した企業には、CoreWeave、Nebius、Crusoe、Foxconn、SoftBankなどが名を連ねる。将来的には国別のGPU在庫やデータ保存条件に応じたマッチング機能も導入予定だという。

背景には、世界的にAIチップの需要が急増している現状がある。生成AIモデルの学習には膨大な計算能力が求められ、エヌビディアのGPUはその中核を担っている。
しかし、物理的な供給の限界とコスト増により、効率的な貸出市場の整備は急務とされていた。

通信高速化技術を外販、富士通も提携

エヌビディアはまた、AIチップ間の通信を高速化する独自技術を外部企業に提供する方針を明らかにした。
この技術は、AIモデルを複数のGPUで並列処理する際のボトルネックを解消し、処理速度の向上とエネルギー効率の改善に寄与する。
富士通をはじめとする企業が既にパートナーとして参加しており、産業界への影響は大きい。

通信技術の外販は、エヌビディアにとっても新たな収益源となる可能性がある。従来は同社のスーパーコンピュータやデータセンター向け製品にのみ使われていたが、技術の外販により、より広範なAIインフラ市場での地位を固める狙いがある。

中国向けAI半導体に新方針、「ホッパー」以外を開発へ

さらに、エヌビディアのCEOジェンスン・ファン氏は、中国市場向けの次期AI半導体について、現在主力の「ホッパー(H100)」シリーズではなく、別の製品を投入する方針を示した。
これは、米国政府による先端半導体の輸出規制強化を受けたもので、同社は「H20」など中国向け特別仕様の半導体についても再検討を迫られている。

こうした状況の中、エヌビディアは中国・上海に新たな研究開発施設を建設する計画も進めており、現地での技術革新を継続する姿勢を明確にしている。

なお、エヌビディアは中国市場で依然として強い存在感を保っているが、米中対立の影響で事業戦略の柔軟性が問われている。技術と政治の狭間で、同社のグローバルな動きが今後も注目される。

エヌビディアとは

エヌビディア(NVIDIA Corporation)は1993年にアメリカ・カリフォルニア州で設立された半導体メーカーで、特にGPU(グラフィックス処理ユニット)の開発で世界をリードする企業です。
当初はPC向けのグラフィックスカード開発を主軸としていましたが、2000年代後半からGPUを利用した並列計算やディープラーニング分野へと事業を拡大しました。

AI開発に不可欠な計算能力を提供する存在として、今やクラウドコンピューティング、スーパーコンピュータ、自動運転車、医療画像解析など多岐にわたる分野で活用されています。
特に2020年代以降は、ChatGPTをはじめとする生成AIブームの中核技術を支える存在として、株式市場でも高い評価を受けており、時価総額ではテクノロジー業界の中でもトップクラスに位置しています。

創業者であり現在もCEOを務めるジェンスン・ファン氏は台湾出身で、ビジョンと戦略性の高さからシリコンバレーの象徴的存在ともいえる人物です。