【2025/4/9速報】トランプ政権、データセンター向けに石炭活用を推進へ 新大統領令に署名

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データセンター需要増に石炭活用、トランプ氏が新令

米国のドナルド・トランプ大統領は8日、国内のデータセンターへの電力供給強化を目的とし、石炭の採掘と利用を拡大するための大統領令に署名した。
ブルームバーグ・ニュースによれば、同令には石炭産業への投資促進策や、新設データセンター向けの電力優遇措置が盛り込まれているという。
ホワイトハウス高官は、これが「エネルギー安全保障」と「産業の持続可能性」を重視した政策であると述べた。

背景にあるデータセンターの爆発的需要

ChatGPTやGoogle Geminiといった生成AIの普及に伴い、アメリカ国内ではデータセンターの新設が急増している。
AIを支える膨大な演算処理には大量の電力が必要で、1つのデータセンターが中規模都市と同等の電力を消費する例もある。
これにより、特に中西部や南部の一部地域では、電力需要が供給能力を上回るケースが出始めている。

なぜ今、石炭なのか?

石炭はアメリカ国内に豊富に存在し、輸入に依存せずに安定供給できる資源だ。
再生可能エネルギーのような天候依存型の不安定さがないため、24時間稼働を必要とするデータセンターの電力源として注目されている。
また、トランプ氏にとって石炭産業は重要な支持基盤であり、今回の政策は政治的な意味合いも強い。

環境団体とテック企業の反発

一方で、この政策に対して環境保護団体からは強い反発の声が上がっている。
自然資源保護協議会(NRDC)は「気候危機を無視した逆行政策」と非難。
また、GoogleやMicrosoftなどのテクノロジー大手は、自社データセンターの再生可能エネルギー100%化を掲げており、今回の政策と方針が真っ向から対立している。
Microsoftは2030年までに「カーボンネガティブ」を達成する目標を発表済みである。

国内エネルギー政策の分裂と今後

アメリカでは現在、州ごとにエネルギー政策が大きく異なっている。
カリフォルニア州などの進歩的な州は太陽光や風力を積極導入している一方、中西部や南部の州では石炭やガスへの依存が続いている。
今回の大統領令が施行された場合でも、州政府や環境団体による法的対抗措置が取られる可能性もあり、全国的な影響はまだ不透明だ。