【速報】アップル、AI戦略を加速 Siri刷新とOSデザイン一新を発表

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アップル、AI基盤を開放しOSを大刷新

米アップルは現地時間2025年6月9日、年次ソフトウエア開発者会議(WWDC 2025)にて、自社開発の生成人工知能「Apple Intelligence」に使われるAI基盤モデルをサードパーティ開発者向けに開放すると発表した。
また、iOSやmacOSなどの基本ソフト(OS)についても全面的なデザイン刷新を行い、新しいUI「リキッドグラス」を導入する方針を明らかにした。
同社はこれにより、プライバシーを保ちつつも多機能なAIサービス提供を可能にするとしている。

実用的なAIを重視、「壮大なビジョン」は控えめ

今回の基調講演では、GoogleやMetaのようなマルチモーダルAI戦略とは一線を画し、日常生活に密着した機能改善に重点を置いた。
例として、電話での同時通訳機能やメール要約、画像生成機能などが紹介された。
しかし、インベスティング・ドット・コムのトーマス・モンテイロ氏は「市場は依然としてアップルのAIリーダーシップに懐疑的だ」とコメントしており、株価も同日1.2%下落した。

Siriの再強化と開発の遅延理由

音声アシスタントSiriは、初登場から13年が経過しているが、AI技術では競合に遅れを取ってきた。
今回フェデリギ上級副社長は「Siriを再設計するには高い品質基準を満たす必要があり、開発には時間がかかった」と説明。
2026年以降に、より高度な自然言語理解や文脈対応が可能な新バージョンの投入を目指しているという。

「リキッドグラス」UIと次世代OSの特徴

アップルは、iOS 26、macOS Tahoeなどの新バージョンで、透過性を重視した「リキッドグラス」と呼ばれる新しいインターフェースを導入する。
これは視覚的な奥行きと操作性を強化し、すべてのデバイス間で統一されたデザイン体験を提供する狙いがある。

マルチモーダルAI分野では依然後れ

AIの進化トレンドとして注目される「マルチモーダルAI」(音声・画像・テキストなどの同時処理技術)では、Appleはまだ後手に回っている。
Metaの「Ray-Ban Metaスマートグラス」やGoogleのGeminiモデルなどが先行しており、アップルのスマートグラス応用は不透明なままだ。

App Store規制や関税圧力も経営を圧迫

アップルは現在、App Storeにおける課金手数料の正当性をめぐって米国およびEUで法的審査を受けている。
さらにトランプ前政権が示唆した「海外製iPhoneへの25%関税」再導入の可能性もあり、収益モデルへの影響が懸念されている。

総括:段階的進化で消費者接点強化へ

AppleはWWDC 2025で、革命的技術よりも「確実で実用的な改善」を選んだと評価できる。
日常機能のAI化、開発者への基盤提供、UX向上によって、ユーザーとの接点を強化する戦略だ。
だがAI競争の主戦場では今後さらなる革新とスピードが求められそうだ。