【速報】セールスフォース、80億ドルでインフォマティカ買収へ AI時代のデータ管理体制を強化

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AI強化戦略の一環として大型買収を実施

米クラウドCRM最大手のセールスフォースは2025年5月27日、米データ管理ソフト企業インフォマティカを約80億ドル(約1兆2600億円)で買収すると正式に発表した。
この買収により、AI搭載の企業向け製品の性能強化と、ビジネスデータの厳格な管理体制の構築が進められる見通しだ。

セールスフォースはこれまでもSlackやTableauなどの大型買収を通じてサービス領域を広げてきたが、今回の取引は2021年のSlack(約280億ドル)以来最大規模となる。
買収金額は1株あたり25ドルで、これは買収交渉再開前の終値に対し約30%のプレミアムを上乗せした水準となっている。

インフォマティカの技術とAI時代の親和性

インフォマティカは、クラウドやオンプレミスを問わず、データ統合・品質管理・マスターデータ管理(MDM)などに強みを持つ企業である。
同社の「Intelligent Data Management Cloud™」は、あらゆるデータソースを横断的に管理し、AI駆動型の意思決定を支援する機能を持つ。
今回の買収によってセールスフォースは、自社AIエージェントの「Agentforce」に、より高度なデータ管理機能を統合することが可能になる。

特に、顧客データの統合精度が向上することで、パーソナライズされた顧客対応や業務自動化の精度が飛躍的に上がると期待されている。

戦略的背景と今後の展望

今回の買収は、2024年に交渉が一度打ち切られていたものの、2025年4月に複数の買い手候補が現れたことで交渉が再開されたとされる。
買収は現金と借り入れを通じて資金を調達し、2026年度初頭(2025年2月以降)に完了する見通し。
セールスフォースは、買収後2年目から営業利益率の上昇を見込んでいる。

インフォマティカの製品は今後、セールスフォースのマーケットプレイス「AppExchange」を通じて提供され、両社のサービス統合が進む。
これにより、AI、CRM、データガバナンスを一体化した次世代ビジネスプラットフォームが形成されることが予測される。

補足:セールスフォースのこれまでの買収戦略

セールスフォースは1999年に設立され、世界初のクラウドベースCRMサービスを商業化した企業として知られる。
その後、MuleSoft(2018年)、Tableau(2019年)、Slack(2021年)といった成長企業を買収し、自社のサービスをCRMからビジネスプラットフォームへと進化させてきた。

これらの買収を通じて得たデータ統合、可視化、コミュニケーション機能は、今回のインフォマティカの買収でデータガバナンスという最後のピースが加わる形となり、セールスフォースの戦略的完成度はさらに高まると見られている。