AI検索「AIモード」が全米展開、従来の検索体験を一新
米アルファベット傘下のグーグルは5月20日、検索サービス「グーグルサーチ」におけるAI機能の本格導入を発表した。
これにより、米国内のすべてのユーザーが「AIモード」を選択できるようになり、従来の検索エンジンでは対応が難しかった複雑な質問にもAIが自然言語で回答を提供する。
この機能は3月から一部テストユーザーに試験提供されていた。
月額249.99ドルの「AIウルトラ・プラン」、高度機能に早期アクセス
同日発表された有料サービス「AIウルトラ・プラン」は、月額249.99ドルという高価格ながら、複数の高度機能がセットになっている。
主な特長は以下の通り:
・AIの利用上限の引き上げ
・キー入力やクリック操作を自動化できる拡張機能「プロジェクト・マリナー」
・複雑な推論処理に対応する強化AIモデル「ディープシンク」
これにより、ユーザーは業務効率化や研究支援など、より高度な用途でAIを活用可能となる。
あらゆる質問への対応を目指す、グーグルの未来ビジョン
グーグルは今後、ユーザーが単純な質問だけでなく、画像解析、旅行やイベントチケットの検索、学術研究に関する問い合わせなど、より広範な分野にAI検索を活用できる未来を描いている。
AI技術の進化により、「検索」の定義そのものが根底から変化しつつある。
AI競争の激化、OpenAIやAppleに対抗
グーグルのこの戦略は、OpenAIやMicrosoft、さらにSafariへのAI検索統合を計画するAppleなど、急速に進化する競合環境に対抗するものだ。
2025年には親会社アルファベットが750億ドルもの資本を投下する予定で、その多くがAI関連プロジェクトに充てられる。
検索広告収益の減少やSafari経由の検索件数低下という課題に直面する中、AI機能による検索の新たなマネタイズ手段を模索している。
サブスク型AI「Google One」との連携も視野
グーグルは既存のサブスクリプションサービス「Google One」へのAI統合も進めており、すでに1億5000万人のユーザーを抱えるこのプラットフォームに、より高機能なAIを導入することで収益の多様化を狙う。
これにより、AIは単なる検索補助ではなく、個人の情報管理や意思決定にも寄与する存在へと進化しつつある。
補足情報:グーグルと検索AIの歴史
グーグルは1998年の創業以来、検索アルゴリズム「PageRank」によって検索業界を席巻してきた。
その後も、検索候補表示や音声検索、Googleアシスタントなどを通じて進化を遂げ、現在のAI主導型検索に至っている。
AI研究にも力を入れており、特に2023年以降は「ジェミニ」シリーズなどのLLM(大規模言語モデル)を活用した製品を多数投入。
これらの蓄積が、今回の「AIモード」や「AIウルトラ・プラン」といった新機能の基盤となっている。