【2025/4/9速報】マスク氏の政府部門「DOGE」がAIで米政府職員を監視 透明性と倫理に懸念広がる

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マスク氏主導のDOGE、省内AI監視が発覚

米実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が、AIを活用して米政府職員の発言や通信内容を監視していることが判明した。
ロイターが事情に詳しい複数の関係者への取材で明らかにしたもので、トランプ政権下で少なくとも1つの連邦機関においてAIを用いたモニタリングが実施されているという。
DOGEの活動は機密性が高く、多くが不透明なままだが、政権に対する不満を検出するためにAIを用いるという実態は、異例かつ物議を醸している。

EPAを含む連邦機関での事例と職員への警告

環境保護局(EPA)では、トランプ氏が任命した高官から「DOGEがアプリやソフトウェア上で敵対的なメッセージを監視している」との説明を受けた管理職がいる。
ある関係者によると、その管理職は部下に対して「発言や入力、行動には注意するように」と直接警告したという。
こうした指示は、政府機関内の自由な発言を萎縮させる効果があると懸念されている。

暗号化メッセージアプリ「シグナル」と違法性の指摘

DOGEは民間の暗号化メッセージアプリ「シグナル」も使用しており、メッセージが一定期間後に自動消去される機能を利用している。
この手法は連邦の記録保持規則に違反する恐れがあり、専門家からは「全メッセージを政府のファイルに保存しなければ違法」との指摘が出ている。
過去には同アプリの使用により、イエメンでの軍事作戦に関する情報が誤って送信される問題も発生しており、情報管理の面で重大なリスクを孕んでいる。

マスク氏開発のAI「Grok」も活用、倫理的懸念強まる

DOGEではマスク氏の企業が開発した対話型AI「Grok(グロック)」も大々的に導入されており、政府内部の監視業務に積極的に使用されているという。
AIによって収集されたデータが、マスク氏やトランプ政権による個人的または政治的利益のために利用される懸念が浮上しており、専門家からは厳しい批判が相次いでいる。

補足:DOGEとは何か?その背景と設立経緯

「政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)」は、2025年1月にトランプ大統領の大統領令により設立された連邦政府の新組織。
主な目的は行政のデジタル化とコスト削減で、民間出身のイーロン・マスク氏が特別政府職員として任命され指揮を執っている。
DOGEは財務省の支払いシステムなど連邦の重要インフラにアクセス可能であり、最大6兆ドル規模の政府支出の監督権限も持つとされる。
こうした権限の広さとAI活用が重なることで、権力の乱用や監視国家化への懸念が拡大している。