【速報】レノボ、64%減益で市場予想大幅下回る AIパソコン事業は拡大中

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中国の大手パソコンメーカー、レノボ・グループが2025年1~3月期の決算を発表し、64%の減益となった。主因はワラントの評価損で、利益は市場予想を大きく下回った。一方、AI搭載パソコン事業など成長分野は好調で、事業の多角化が進んでいる。

純利益は64%減、AIパソコン分野で巻き返し狙う

2025年5月22日、レノボは2025年第4四半期(1~3月)の決算を発表。売上高は169億8000万ドルと市場予想(156億ドル)を上回ったが、株主帰属純利益は9000万ドルにとどまり、予想の2億2580万ドルを大幅に下回った(出典:LSEGデータ)。

主な減益要因は、金融関連の「ワラント評価損」。これは株式転換権付きの証券の評価額が下落したため発生した損失と見られる。

AIパソコンは急成長、2027年には出荷の8割に

レノボは2024年5月、中国で初のAI搭載パソコンを投入し、同年9月には世界市場にも展開。AIパソコンの出荷比率は2025年中に全体の25%を占め、2027年には80%に達するとしている。

同社は、中国の新興AI企業「ディープシーク」の技術をパソコンやタブレットに採用。ディープシークは自然言語処理や画像認識に強みを持つ企業で、レノボ製品の高機能化に大きく貢献している。

クラウド・サーバー部門は2桁成長

クラウドや法人向けソリューション部門では堅調な成長が続いている。インフラ・ソリューション部門(サーバーを中心とした事業)は前年比64%の増収を記録。法人顧客向けのクラウドベースソフトウェアを提供するソリューション・サービス部門も前年比22%増の22億ドルに達した。

レノボの歴史と変革

レノボは1984年に「Legend(聯想)」として中国科学院計算技術研究所の研究員により創設され、2003年に現在の「Lenovo」へと社名を変更。2005年にはIBMのパソコン部門(ThinkPadシリーズ)を買収し、グローバル市場での地位を確立した。

近年はハードウェア中心のビジネスから、AI、クラウド、エッジコンピューティングなどの領域へ事業を広げている。2020年代半ばからはサステナビリティとDX(デジタルトランスフォーメーション)を成長の柱としている。

株価は決算発表後に下落

決算発表を受け、レノボの香港市場での株価は2%下落した。市場の期待との乖離が株価に影響したとみられる。